国立西洋美術館が所蔵する作品は、絵画、彫刻、素描、版画、写本、工芸などおよそ6,000点以上。そのうち、普段、来館者の目に触れるものは何点か、ご存知でしょうか?
 
ーー答えは、約200点ほどです。
 
全体の97%は、収蔵庫の中で保管されています。そして企画展や常設展の展示替えの際、他館の展覧会にお貸しする際、研究利用の際などに、収蔵庫から出されることになります。
 
世界の美術館・博物館でも、所蔵作品の多くが収蔵庫にある、という事情は変わりません。展示スペースに限りがあることや、作品の劣化を防ぐためにも、すべての作品を常に展示しておくというのは難しいものです。
ただ、せっかくの豊かなコレクションが、一般の方々には見えないところにある、というのはとても残念なことです。
そこでこのたび、国立西洋美術館では、コレクションの中でも人気が高いフランスの彫刻家オーギュスト・ロダン(1840-1917年)の彫刻作品全60点を、広く多くの皆さまに見ていただくため、どなたでもアクセスできるwebサイト「みんなの3Dロダン図鑑」制作プロジェクトを立ち上げました。
 
本プロジェクトでは、ロダンの彫刻作品を、平面写真ではなく、「3D」で計測・データ化し、「みんなの3Dロダン図鑑」内で3Dモデルとして公開することを目指します。
 
展示されていない作品を鑑賞したり、通常は見ることのできない角度から作品を見たり、作品の細部を拡大して見たり、「みんなの3Dロダン図鑑」を通して、ロダン作品の色々な見方を楽しんでいただきたいと思っています。
 
また、作品の3Dモデルを使った鑑賞に加え、著名人などに「推しロダン」を語っていただく動画や、ロダンにまつわる4つのストーリー、彫刻の楽しみ方のご提案など、皆さんが西洋美術館に、ロダンに、彫刻に、親しみや関心を持ち、楽しむことができるようなコンテンツも搭載する予定です。
 
本プロジェクトでは、普段見ていただくことのできない作品群を鑑賞いただいたり、美術館に来ることができない方にweb上で気軽に美術に触れたり、楽しんだりしていただくことを目的としていますが、もう一方で、デジタルアーカイブという目的もあります。
 
国立西洋美術館では、5年前にもクロード・モネ作《睡蓮、柳の反映》のデジタル推定復元のため、クラウドファンディングに挑戦しました。その際、資金と同時に、多くの方から応援の声をいただけたことも大きな励みになりました。
 
今回も、本プロジェクトを通して、資金調達だけでなく、国立西洋美術館の持つロダン作品の魅力を広く伝え、さらには美術館の所蔵作品の活用のあり方について多くの方と一緒に考えていくきっかけにもしたいと思っています。

3Dデータ化の方法

今回は、国立西洋美術館が所蔵するロダンの彫刻作品すべてを、3D計測し、3Dデータを取得します。
ロダン彫刻作品の3Dデータ化と3Dモデルの作成は、文化財の活用とデジタルコンテンツを専門とする奈良県立大学特任教授の山田修先生にお願いしています。

【山田先生からのコメント】
2001年くらいから3Dでの文化財の計測を始めました。これまで歴史的建造物や遺跡といった大きなものから、ミロのヴィーナスといった西洋美術まで幅広くやってきましたが、一番中心となって計測を行っているのは、日本の彫刻、仏像です。研究のための3D計測ですが、形のあるものであれば、なんでも行ってきました。
日本の仏像の多くは木でできていますが、今回のロダン作品のほとんどはブロンズ製ですので、やはり、表面の質感の違いが顕著です。表面状態によって計測しやすい、しにくい、というのがあるため、ブロンズ像のように光沢感があるもので、どれだけ反射の影響をおさえて計測するか、というのが今回のプロジェクトの大きなポイントだと思っています。

また、彫刻作品60点という大規模な3Dデジタルアーカイブ化とその公開は、国立の美術館としては前例のない取り組みということもあり、このたびクラウドファンディングでご支援を募ることとなりました。
国立西洋美術館ではこれまで、絵画や彫刻などの所蔵作品を、高画質・高精細で撮影して画像を残す取り組みや、研究のための3D計測は行ってきましたが、ロダン彫刻全作品60点という規模で3Dデータ化し、その3Dモデルを広く一般に公開するのは初めてです。

デジタルアーカイブの意味
●作品の画像や詳細情報に、いつでも・誰でもアクセスできる
 →美術教育・研究の分野での活用も
●地震などの災害も多い日本において、作品の本来の姿を細部まで(どの時点でどういう状態だったのか)精確に記録しておける

「みんなの3Dロダン図鑑」について

完成した3Dモデルは、特設サイト「みんなの3Dロダン図鑑」に全点掲載し、どなたでも自由に検索・閲覧できるようになります。
3Dモデルは自在に拡大や回転ができ、細かな部分を観察することも可能です。また、大きな彫刻作品を上から見たり、高いところの奥まった部分を見たり、通常鑑賞するときとは違った角度・観点から彫刻を鑑賞することができます。
 
特設サイト「みんなの3D図鑑」では、3Dモデルの閲覧の他に、彫刻を楽しむ方法をご提案するようなコンテンツを企画しています。コンテンツの詳細は、今後本サイトの「活動レポート」にて、紹介していきたいと思っています。
特設サイトの完成は、2024年内を目指しています。
このプロジェクトのお問い合わせはこちらから

オーギュスト・ロダンとその作品について

国立西洋美術館は、19世紀後半から20世紀初頭のフランスを代表する彫刻家オーギュスト・ロダン(1840-1917年)の彫刻作品を60点所蔵しています。そのほとんどは国立西洋美術館のコレクションの基礎を築いた松方幸次郎が1910年代から20年代にかけて収集したものです。ロダンの代表作である《地獄の門》《カレーの市民》《考える人(拡大作)》は、1959年の開館以来、ル・コルビュジエ設計の本館の前に設置されており、当館の顔ともいえるこれらの彫刻は、当館の歴史とともに、来館するすべての方を見てきたといえます。開館時の新聞や雑誌の記事には、実物のロダンをこの日本で見ることができるようになったことへの賛美が綴られました。
 
フランスの19世紀においては、彫刻家として成功するためには、伝統的なアカデミーのシステムに則り、国立美術学校で著名な師を得て、古代彫刻を模範とし、秩序に従った彫刻を制作することが必要とされていました。また、芸術家の育成のために設置されたローマ賞を受賞すると、奨学金を得て5年間ローマに滞在する資格を得て、イタリア各地の彫刻や絵画、建築などを勉強しながら制作に専念する機会が与えられました。しかし、ロダンは国立美術学校への受験に三度失敗し、結局は進学の道を断念、ローマ賞を受賞することもありませんでした。他方、ルーヴル美術館や旅で訪れたイタリア各地で、古代、ルネサンス、バロック期の彫刻に触れ、精力的にそこから学びとろうとしました。ロダンが最初にイタリアに行ったのは、1875年末のことでした。この旅行中、フィレンツェで見たミケランジェロの彫刻に感銘を受けたことが、旅行先から恋人ローズ・ブーレに宛てた手紙に綴られています。3ヶ月間の旅行から戻って間もなく制作した《青銅時代》、それに続く《アダム》や《エヴァ》には、ポーズやそれにともなう筋肉の表現など、随所にミケランジェロの作品との共通性が見られます。ロダンはその後も晩年にいたるまでイタリア旅行を繰り返し、また自ら古代彫刻を多数収集しました。
 
一職人から大彫刻家としての道を切り開いたロダンは、国立美術学校を中心としたアカデミックな彫刻教育から距離を置き、新しい立体表現を提示し続けた彫刻家として位置づけられます。新古典主義の彫刻が滑らかに磨き上げられた端正な仕上げに特長があるのと比べると、ロダンの作品の表面は、素材の粗いテクスチャー、指や型、道具の跡を傷跡のようにあえて残し、生々しさをあらわにしています。


(※本ページの文章はすべて「手の痕跡」展図録を参考にしています)

《考える人(拡大作)》

1881-82年(原型)、1902-03年(拡大)、1926年(鋳造)
ブロンズ
186×102×144cm
台座右側面に署名:A. Rodin; 台座背面右下に鋳造銘:Alexis Rudier / Fondeur Paris
松方コレクション
 
《地獄の門》の上部中央に据えられ、地獄の諸相を見下ろす「考える人」は、当初題材である『神曲』「地獄篇」の作者である詩人ダンテを表すものでした。そしてこの像が《地獄の門》から切り離され、《考える人》の拡大版が単独像として初めてコペンハーゲンの展覧会に出品されたとき(1888年)、その題名はダンテやボードレールを意識して「詩人」とされました。しかし次第に《考える人》は単独像としての歩みを始め、特定の詩人ダンテだけを示すのではなく、広く「思惟=pensée」する人、すなわち「無名の創造者」として普遍的な意味での「考える人」になった、と解釈されます。他方、ロダンが彫刻家であると同時に「詩人」でもあるという見方は、同時代の象徴主義の批評にしばしば見られます。たとえば象徴主義の詩人スチュアート・メリル(1863-1915)はロダンを「偉大なる絶望の詩人」「熱情の詩人」「魂の詩人」と称しています。ダンテに始まった《考える人》は、彫刻を含むすべての創造者とされ、魂の詩人=彫刻家ロダン自身へとつながるのです。
《考える人》は、約70センチメートルのサイズをオリジナル・サイズとして制作され、1903-04年に拡大作が制作されました。
本作は拡大されることで、腕や足の各部、背中の筋肉表現などがより誇張され、観る者にさらに強い印象を与えることとなりました。彫刻家ブールデルは本作について「この偉大なミケランジェロの友は、その静かなる眼差しの精神でわたしたちを満たす」と書いています。注文に応じ多数のブロンズ像や大理石像が制作されるなか、市民の募金によって本作をパリのシンボルとして設置する計画ももち上がり、1906年にはパンテオンの前に設置されることにもなりました。

撮影:©上野則宏

《地獄の門》

1880-90年頃 / 1917年(原型)、1930-33年(鋳造)
ブロンズ
540×390×100cm
松方コレクション
 
ロダンは1880年、建設予定の装飾美術館のための門の注文を受けます。高さ5メートルを超える門を飾る浮き彫りには、ダンテの『神曲』「地獄篇」が主題として選ばれましたが、これはロダン自身の選択だったと考えられます。かねてからダンテの称賛者であったロダンは、その著作をいつもポケットに入れていたといわれています。この作品の制作のために、ロダンは政府からユニヴェルシテ街にある大理石保管所内にアトリエを与えられました。
最初は、フィレンツェ大聖堂の洗礼堂東扉を飾るギベルティ作《天国の門》に倣い、扉をいくつかのパネルに分けて、それぞれのパネルに物語を展開させる案が考えられました。しかし第2マケット以降、システィーナ礼拝堂のミケランジェロによる壁画《最後の審判》のように、全体に多数の人物像を渦巻くように配した構成がとられるようになりました。ダンテの詩に登場する特定の人物は極力はずされ、最終的には「ウゴリーノ」「パオロとフランチェスカ」「フィギット・アモール」など一部の登場人物が残されるのみとなりました。《地獄の門》全体には200体を超える人物像を見いだすことができますが、その中心となるのはティンパヌム中央に置かれた「考える人」です。「考える」という行為そのものを体現する存在であるこの人体像は、『神曲』の創造主ダンテであると同時に、《地獄の門》の創造主であるロダン自身をその内に宿す存在といえるでしょう。門の最上部には「三つの影」が置かれています。「ここを入る者は、あらゆる希望を捨てよ」のメッセージを告げるこの像は、観る者の視線を「考える人」へ導く役割も果たしています。
 結局、装飾美術館建設の計画は頓挫し、《地獄の門》はロダンの生前にブロンズ鋳造されることはありませんでした。この作品の制作過程や詳細については、1900年のアルマ広場での展覧会に、丸彫りの人体像を取り払った土台だけの《地獄の門》が展示されたほか、ロダンのアトリエを訪れた何人かの友人や批評家たちによる報告が残り、その制作過程をある程度たどることができます。
 現在、世界にはブロンズの《地獄の門》が7点ありますが、その元となったのは、ロダン美術館を率いたレオンス・ベネディットが、ロダンの遺した細かい指示に従って組み立てた《地獄の門》の2点の石膏像(パリ、オルセー美術館所蔵;ムードン、ロダン美術館所蔵)です。1920年代に最初に鋳造された2点(パリ、ロダン美術館所蔵;フィラデルフィア、ロダン美術館所蔵)と、1930年代に鋳造された1点(国立西洋美術館所蔵)は、アレクシス・リュディエ鋳造所によるものです。
ロダン生前にはブロンズに鋳造される機会がなく、石膏のままアトリエに残されたものを松方が発注したことで、初めてブロンズ鋳造されました。

撮影:©上野則宏
《カレーの市民》
1884-88年、1953年(鋳造)
ブロンズ
180×230×220cm
台座上面前方に署名:A. Rodin; 台座背面右に鋳造銘:George Rudier / Fondeur Paris.

1884年、ロダンはカレー市民より14世紀にイギリスの攻撃から町を守った英雄たちの記念碑の注文を受けました。カレー市は英仏海峡に面したフランスの港町で、14世紀に起きた100年戦争では、イギリス軍との激戦の地でした。「カレーの市民」として称えられるのは、最年長のユスターシュ・ド・サン・ピエールを中心とした6人で、市を代表する有力者たちでした。フロワッサールの年代記によると、11ヶ月におよぶイギリス軍による兵糧攻めに耐えてきた町は、ついにイギリス王エドワード3世の最後の要求に屈し、市の有力者6名が町を救うために、命を犠牲にする覚悟で、自らイギリス軍のもとに歩み出たのです。
 ロダンは完成にいたるまでに、全体構成を示すふたつのマケットと個別の人物の裸体および着衣習作や各部位の習作を多数残しています。市側からは「ユスターシュ・ド・サン・ピエール記念碑」として、ひとりを英雄的に扱った像を要望されたにもかかわらず、ロダンが第1マケットからずっと主張し続けたのは、6人全員を等しく同じ高さに配置する構成でした。さらにロダンとカレー市の間の意見の相違は人物表現、台座の高さ、設置場所など様々な点におよび、そのたびに両者の間には厳しいやり取りが交わされました。とくに人物たちが堂々とした英雄的な態度にはほど遠く、苦悩と失意に打ちのめされた様子で表現されていることに市側は当惑しましたが、結局ロダンは本作を6人の複雑な心理劇として完成させることに成功しました。各人物の個性が際立つ群像ですが、ロダンは《地獄の門》でも見られたような、形の反復をここでも利用しています。ひとりの人物の右手は、向きを変えて別の人物の右手になり、また唇や髪型などをわずかに変形させて、同一の型から異なる人物の頭部が制作されたのです。
 結局、記念碑《カレーの市民》は、1895年、1.5メートルほどの高さの台座に載せられ、カレー市のリシュリュー広場に設置されました。ロダンが当初希望していたのは、台座をなくし、現実の人々の目線と同じ高さに設置することでしたが、この案はロダンの死後1924年になって、カレー市庁舎前に移設されたときにようやく実現しました。
国立西洋美術館のコレクションのもとを築いた松方幸次郎がロダン美術館に発注した《カレーの市民》は、1919-21年に鋳造されていますが、その鋳造は、松方の手に届くことなく、1920年代にアメリカのコレクターに転売されました。それに替わる鋳造は1926年になされましたが、これは1950年代の松方コレクションの返還、寄贈交渉の過程でパリに残すことが決まり、現在、国立西洋美術館に設置されている《カレーの市民》は1953年に鋳造されたものです。

撮影:©上野則宏
《接吻》
1882-87年頃
ブロンズ
87×51×55cm
台座背面上に署名:台座背面右下に鋳造銘
松方コレクション
 
この作品は、1881年から82年にかけて《地獄の門》の一部として構想されたもので、1887年、初めて発表されたときには「フランソワーズ・ド・リミニ」という題名でした。イタリア名フランチェスカ・リミニはダンテの『神曲』「地獄篇第5歌」に登場する女性で、接吻の相手はパオロ・マラテスタです。年老いた夫のいるフランチェスカは、夫の年の離れた弟パオロと読書をしていたときに互いの愛を確認してしまいます。そこに突然現れた夫によって、その場でふたりは殺され、地獄の第2環で永遠に風に運ばれ、漂う罰を受けることとなったのです。『神曲』では、さめざめと涙を流すフランチェスカの姿が描写されています。
この二人像は、「地獄の門」のマケット第三構想左扉の中央にその姿が認められるとおり、早い段階から《地獄の門》の主要モチーフのひとつとなりました。ところが、1886年頃まではその位置に置かれることになっていたものの、最終的には《地獄の門》から取りはずされました。理由としては、この作品が、道ならぬ愛とはいえ、真実の愛の喜びを呼び起こすものであって、《地獄の門》全体の壮絶な悲劇性とそぐわないと判断されたからと考えられています。結局、《地獄の門》には「パオロとフランチェスカ」の主題で別の二人像が加えられました。
1898年のサロン展では、《接吻》の大型の大理石像が《バルザック》の石膏像とともに出品されました。出品前から後者がスキャンダルを巻き起こすことを予想していたロダンは、傍らに甘美で伝統的な主題の《接吻》を置くことにより、評価を落ち着かせようと考えたのでした。ロダンが意図したとおり、《接吻》はその造形の簡潔な美と印象的なふたりの組み合わせにより大成功を収めました。その後も大型の大理石像が続けて発注されたほか、バルブディエンヌ鋳造所がロダンとの契約により、何種類かの縮小版ブロンズ像を多数制作、販売しました。国立西洋美術館所蔵作は、オリジナル・サイズでアクレシス・リュディエ鋳造所による鋳造です。

撮影:©上野則宏
《青銅時代》
1877年
ブロンズ
181×70×66cm
台座上面右に署名:台座背面右下に鋳造銘
松方コレクション
 
《青銅時代》はロダンが初めてのイタリア旅行から戻ってすぐに制作された作品で、彼の主要作品としては最初のものです。イタリアで目にしたミケランジェロの作品をはじめとするルネサンスの彫刻や絵画に触発され、その成果を表現したものです。モデルとなったのは22歳の兵士オーギュスト・ネイでした。この作品は、1877年1月にブリュッセルの展覧会で発表されるとすぐに高い評価を受ける一方で、スキャンダルに見舞われました。左足を軸足として軽くひねるポーズは、古代以来用いられてきた伝統的なものでした。伝統の形式に従いつつ、憂いを帯びた表情を見せた完成度の高い作品に仕上げられた本作でしたが、そのあまりの写実性と主題の曖昧さにより、批評家たちから生きたモデルから直に型取りしたものと勝手に判断され、批判を受けたのでした。この批評はパリにも届き、同年のサロンに応募した際、本作は同じ理由で批判を受けました。まったくいわれのない批判に対し、ロダンはモデルに同じポーズをさせた写真を提示し反論を試みています。この作品が真価を認められ、国家の買い上げとなったのはそれから3年後でした。
 本作は1870年の普仏戦争を想起させる「敗北者」と題されたこともありましたが、ロダンは後になってこの作品に人間存在の起源を示す《青銅時代》という題目をつけ、普遍性を与えました。

撮影:©上野則宏

上野公園の桜

上野公園の桜が見ごろを迎え、毎日多くの方でにぎわっています。
国立西洋美術館は東京の上野公園の中にあります。上野公園は国立西洋美術館を始め、東京都美術館、上野の森美術館、東京国立博物館、国立科学博物館、上野動物園、東京文化会館とたくさんの文化施設が集まっていますが、桜の名所として、とても有名ですね。台東区のホームページによると、約400年前に、寛永寺を創建した天海僧正が吉野山から桜を移植させ、現在では上野公園一帯には約1200本の桜があるそうです。
今週末は、上野公園でお花見&ロダン作品鑑賞散歩、いかがですか?

 

常設展の中のロダン彫刻

クラウドファンディングにご参加くださった方の中には、返礼品の国立西洋美術館常設展パスポートチケットがお手元に届いた方もいらっしゃるかと思います。
機会がございましたら、ぜひ展示されているロダンの彫刻作品をご覧にお越しください。
2024年度のパスポートチケット、表面は、ポール・シニャック《サン=トロぺの港》(部分)をあしらっています。たくさんの色が使われていてとても綺麗です。じーっと見ていると、なんだか旅に出たくなるような。。。


ロダンの彫刻作品は、前庭と19世紀ホールにも展示されています。
前庭だけでなく、19世紀ホールも、どなたでも無料でご鑑賞いただけるエリアですので、上野公園近辺にお越しの際は、ぜひお気軽にお立ち寄りくださいませ。

足場を組んでの計測

2月中旬の晴れた日、国立西洋美術館の前庭に、巨大な足場が組まれました。前を通ってご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?


前庭のロダン彫刻作品のうち、《地獄の門》と《カレーの市民》の2点は、とても大きく、脚立では3D計測ができないため、専門の業者さんに依頼をして、足場を組んでいただきました。足場を組んだ日は、2月というのに快晴で暖かく、足場組日和(?)でした!
ただ、3Dの計測(撮影)においては、あまり晴れてしまうと影ができてしまうので、曇っている方が良いのだそうです。
さて、計測本番はどんなお天気だったのでしょうか。それはまた今度、お話ししますね。

足場の上から見る作品は、こんな感じです。

《地獄の門》の上方には、小さな《考える人》がいます。その上には、無数の顔・顔・顔・・・骸骨も?!
背後にも、複数の人の体が。下から見ているとわからない奥行きにも驚かされます。
《カレーの市民》は、《地獄の門》ほどの高さはありませんが、高いところを近距離で見ることはできません。ひとりひとりの表情は、下から見上げる時と、上から見る時では、少し異なるように感じました。人間の感情を彫刻で表現するだけでも難しいように思いますが、ロダンの彫刻を見ると、まるで生きている人に対峙しているように感じて圧倒されます。

3Dでは、いったいどんなふうに見えるようになるのでしょうか。楽しみですね。

第4弾が始まりました!

「国立美術館のクラウドファンディング第4弾 国立西洋美術館のロダン彫刻全作品の3Dデータが閲覧できるWEBサイト「みんなの3Dロダン図鑑」をつくろう!」が本日スタートしました。
国立美術館では、クラウドファンディング第1弾プロジェクトとして、2019年に「国立西洋美術館所蔵クロード・モネ作《睡蓮 柳の反映》のデジタル推定復元プロジェクト」を行い、参加者総数348名、支援総額3,642,000円、目標達成率121%で終了しました。その後、2020年に第2弾プロジェクト「国立工芸館 石川移転開館記念事業 12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト!」(参加者総数137名、支援総額3,926,000円、目標達成率130%で終了)、第3弾プロジェクト「国立映画アーカイブ 磁気テープの映画遺産を救え!『わが映画人生』デジタルファイル化プロジェクト」(参加者総数257名、支援総額5,442,000円、目標達成率108%で終了)を行いました。ご支援くださった皆さま、ありがとうございました!
※詳しい内容は、「過去のプロジェクト」でご覧いただけます。
 
第4弾の今回は、舞台を再び国立西洋美術館に移し、コレクションの中でも人気が高いフランスの彫刻家オーギュスト・ロダン(1840-1917年)の彫刻作品60点を、広く多くの皆さまに見ていただくため、どなたでもアクセスできるwebサイト「みんなの3Dロダン図鑑」を制作するプロジェクトです。
本プロジェクトでは、ロダンの彫刻作品を、平面写真ではなく、「3D」で計測・データ化し、「みんなの3Dロダン図鑑」内で3Dモデルを公開することを目指します。
 
詳細は「プロジェクト概要」ページに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
 
皆さまのご支援・ご参加をお願いいたします。
  • 2024/04/09

    松方 ロダン さん

    dummy
    些少ですが寄付させて貰います。
  • 2024/04/03

    小倉淳史 さん

    dummy
    応援してます!
  • 2024/04/02

    平野一幸 さん

    dummy
    学生時代にデザインを学んでいたころ、よく足を運んでいましたので、3Dで鑑賞できることが大変楽しみです。
  • 2024/04/01

    向山裕子 さん

    dummy
    上野公園口から降りると右手にロダンの作品が出迎えてくれます!他館に行くときにも挨拶をしながら通る親しみ深い作品です。でもよ~く観るとあり得ないポーズや心情が読み取れる身体表現奥深いです!
  • 2024/03/31

    木越 純 さん

    dummy
    素晴らしい取り組みです。公開が今から楽しみです。
  • 2024/03/27

    藤原良司 さん

    dummy
    1年に1度くらいしか西洋美術館を訪れることができないため、WEBで閲覧できるようになることは大変に嬉しいことです。
  • 2024/03/27

    yukakoba さん

    dummy
    今後も西洋美術館の様々な取り組みに期待しています!
  • 2024/03/27

    矢作川support さん

    dummy
    「考える人」~「P-D-C-A」
    DX時代なんですね❦
  • 2024/03/26

    華美 さん

    dummy
    見るのも触るのも”本物”がいちばんですが、もしもその”本物”が消えてしまったら...思い出の中の”本物”も、いつかは思い出の持ち主と一緒に消えてしまう。それはとても悲しいことなので、デジタルアーカイブ、ぜひ作ってください。
  • 2024/03/21

    夕希 さん

    dummy
    西洋美術館には6000点もの所蔵作品があること、そして目に触れるのが200点というのを初めて知りました!
    今回はロダンの60点の彫刻の、3D図鑑作成クラウドファンディングですね。
    多くの貴重な作品が誰でも自由に見ることができる、素晴らしい取り組みだと思います。
    そして【その先の所蔵物の在り方についても考える】この一文で支援を決めました。応援しています!
  • 2024/03/20

    仁科麻由子 さん

    dummy
    国立西洋美術館に行った時には、できるだけ常設展も見ます。そして、必ずロダンの彫刻をメインに見てます。毎回、作品の美しさに見惚れてます。なので、今回のプロジェクトを、ささやかですが支援したい気持ちを表せて、嬉しく思います。
  • 2024/03/20

    REI さん

    dummy
    国立西洋美術館が大好きです。普段見られないロダンの作品が見たい!応援していています。
  • 2024/03/19

    井口泰 さん

    dummy
    徳島の大塚国際美術館にて10年以上にわたりボランティアガイドを務めています。このボランティアで西洋美術史を通じて世界の歴史を面白く学べることを知りました。微力ながら日本の芸術文化の向上のお役に立てれば幸いです。
  • 2024/03/19

    うすいよしえ さん

    dummy
    美術の教科書で子どもの頃から見ていた「考える人」。彼を知らない日本人はきっといないんじゃないかと思うのですが、でも、ちゃんと知っている人は少ないのでは…?私がその1人です。
    遠い昔、遠い国で作られた彼のことを知る機会をいただけたことに感謝です。3Dになった彼を隅から隅まで見てみたいです!!
  • 2024/03/16

    さかいめぐみ さん

    dummy
    楽しみにしています!
  • 2024/03/15

    ヤマギシ さん

    dummy
    渡辺晋輔さん、がんばって❗
  • 2024/03/15

    清水 公陽 さん

    dummy
    国にももっと美術館、博物館にお金を出してほしいですが、取りあえず協力させていただきます。
  • 2024/03/14

    にょみ さん

    dummy
    3D図鑑のひとつに関われて嬉しい!作るのは大変だけど応援します!
  • 2024/03/12

    あんバターサンド さん

    dummy
    図鑑が完成したら考える人の3Dモデルを日がな愛でまわしたいです。ぬいぐるみも楽しみ!
  • 2024/03/11

    吉野 唯史 さん

    dummy
    ロダンの素晴らしい作品をデジタル技術を通して鑑賞出来ることを期待いたします。
  • 2024/03/11

    坂井建一郎 さん

    dummy
    西美大好き。もちろん全力応援。
  • 2024/03/11

    ゆうた さん

    dummy
    「みんなの3D図鑑」楽しみにしています
  • 2024/03/07

    KYOKO さん

    dummy
    完成を楽しみにしています。
  • 2024/03/07

    諏訪秀一 さん

    dummy
    みんなで見られるロダン!期待してます!

支援者の皆さま

国立美術館は、クラウドファンディングにご参加くださった皆さまに、心より感謝いたします!!!

支援者の皆さま

猪嶋 利昭 様, 荒井 直久 様, 山野 俊治 様, 波多 忠太 様, 山我 雄樹 様, 廣安 ゆきみ 様, 窪田 大典 様, 山田 隼大 様, 諏訪 秀一 様, 小林 京子 様, 合原 秀樹 様, 丸岡 太 様, 溝口 善智 様, 山田 義明 様・真樹子 様, 穴水 秀樹 様, 野口 真美 様, ゆうた 様, 伊東 真生 様, 坂井 建一郎 様, 村山 志保 様, 吉野 唯史 様, 鎌谷 智子 様, 緒方 由美子 様, 国本さやちの 様, 鳥羽 裕介 様, 飯島 信二 様, 根木 昭彦 様, 柴田 如美 様, 福田 晶子 様, 河合 賢二 様, 中川 有子 様, 清水 公陽 様, 山岸 正和 様, 原 さつき 様, 山中 孝太郎 様, 松野 哲郎 様, 小田 敦弘 様・小田 さつき 様, ポッキー 様, Eri Aida 様, 阪井 恵 様, 牧野 裕子 様, 川上 美奈子 様, 魚 実樹 様, 井口 泰 様, 島田 雛 様, 和田 泰典 様, 高松 礼 様, 仁科 麻由子 様, 松山 洋子 様, てらさんふぁみ 様, 近藤 智子 様, 夕希 様, 平野 一幸 様, 鎌田 誠 様, 新海 正浩 様, 市嶋 英晃 様, 柿沼 威司 様, 伊藤 圭一 様, 小野 進之介 様, 藤原 良司 様, 井口 みを 様, 井口 つくし 様, 大槻 真道 様, 中山 聡 様・中山 陽子 様, 竹本 健一 様, Misa Ohyori 様, 松方 雪雄 様・ひとみ 様, 向山 裕子 様, 木越 純 様, 吉田 孝敏 様, 湯浅 真由美 様, 岩田 なお子 様, 松浦 健 様, 山本 多嘉子 様, 横山 眞紀子 様, のりすけ 様, 冨田 三美 様, 西前 仁美 様, 渡邊 譲治 様, 坪井 弘毅 様, 木村 康紀 様, 山内 惠理香 様, 針谷 千賀子 様, 癸生川 心 様,
他、39名の皆さま