国立美術館のクラウドファンディングについて

独立行政法人国立美術館では、展覧会の開催だけでなく、作品の購入や修復、教育普及、情報資料の収集など、幅広い活動に取り組んでいますが、国立美術館を応援してくださる多くの皆さまと「来館者と美術館」という関係を越えて、共に何かを作り上げる「仲間」という関係を築き、一緒に文化・芸術を盛り上げていきたいとの思いから、 2019年3月15日、「国立美術館のクラウドファンディングサイト」を立ち上げました。

そして、4回にわたるクラウドファンディングプロジェクトを通して、美術館には、これまでの「展覧会を鑑賞する場所」だけでなく、「自分が参加して実現したプロジェクトが披露され、それを見る場所」という一面も加わりました。

第1弾プロジェクトは、「60年ぶりに発見されたモネの幻の大作がよみがえる! 国立西洋美術館開館60周年記念事業 クロード・モネ 《睡蓮、柳の反映》  デジタル推定復元プロジェクト」を2019年3月15日から 6月2日まで実施し、目標達成率121%で終了、348名の方にご参加いただきました。

第2弾プロジェクトは、「国立工芸館 石川移転開館記念事業 12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト!」を2020年4月1日から8月11日まで実施し、目標達成率130%で終了、137名の方にご参加いただきました。

第3弾プロジェクトは、「国立映画アーカイブ 磁気テープの映画遺産を救え!『わが映画人生』デジタルファイル化プロジェクト」を2021年12月1日から2022年3月31日まで実施し、目標達成率108%で終了、257名の方にご参加いただきました。

第4弾プロジェクトは、「国立西洋美術館のロダン彫刻全作品の3Dデータが閲覧できるWEBサイト「みんなの3Dロダン図鑑」をつくろう!」を2024年3月1日から7月2日まで実施し、目標達成率79%で終了、全4回の中で最も多い356人の方にご参加いただき、総額も最多の5,582,000円をご支援いただきました。

2019年から4回にわたり独自のプロジェクトを行い、たくさんの方にご支援をいただきましたが、国立美術館のクラウドファンディングサイトでのプロジェクトの実施とご支援の募集を終了し、2025年11月、本サイトは、これまでのプロジェクトを閲覧いただけるアーカイブサイトとなりました。

本サイトで行ってきたクラウドファンディングプロジェクトを通して、国立美術館を知っていただくこと、継続して応援いただくことができました。たくさんのご支援と励ましをいただきありがとうございました。ご参加くださったすべての方に心からのお礼を申し上げます。

今後も、各美術館が既存のプラットフォーム等でクラウドファンディングプロジェクトを企画することもあるかと思いますので、引き続き応援いただけますと幸いです。

また国立美術館では、日々の活動に対し、各館へのご支援を引き続き必要としております。国立美術館のオンライン寄附サイトからのご寄附につきましても何卒よろしくお願い申し上げます。
独立行政法人 国立美術館 オンライン寄附サイト

プロジェクト一覧

国立美術館のクラウドファンディング第4弾
国立西洋美術館のロダン彫刻全作品の3Dデータが閲覧できるWEBサイト
「みんなの3Dロダン図鑑」をつくろう!

国立西洋美術館では、フランスの彫刻家オーギュスト・ロダン(1840-1917年)の彫刻作品60点を所蔵しており、パリのロダン美術館、フィラデルフィアのロダン美術館などに次いで、世界有数のコレクションを形成しています。
この素晴らしいコレクションを多くの方に見ていただきたいという思いがあるものの、限られた展示スペースの中で展示できる点数には限りがあり、そのほとんどが収蔵庫で保管されています。
そこで、第4弾プロジェクトでは、国立西洋美術館が所蔵するロダン彫刻作品を3Dデータ化し、特設サイト「みんなの3Dロダン図鑑」を制作、公開しました。
本サイトを通して、日本、さらには世界の人々に国立西洋美術館所蔵のロダン彫刻群を楽しんでもらうことを目指しています。また、様々な理由で美術館を訪れることができない方々にも、鑑賞の機会をご提供し、すべての人に開かれた美術館となることを目指します。
本サイトでは、彫刻作品60点の3Dモデルの掲載に加え、絵画作品と比べ、楽しみ方がわからないなど、鑑賞が難しいと思われている彫刻作品の魅力を発信し、新しい鑑賞のアプローチ、楽しみ方を提案しています。
支援募集期間:2024年03月01日 ~ 2024年07月02日

国立美術館のクラウドファンディング第3弾
国立映画アーカイブ 磁気テープの映画遺産を救え!
『わが映画人生』デジタルファイル化プロジェクト

ビデオなどの磁気テープに記録された映像や音声は、2025年までにデジタルファイル化しなければ二度とアクセスできなくなり、一気に失われかねない―という警告"マグネティック・テープ・アラート Magnetic Tape Alert”を、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が2019年に発したことを皆さんはご存知でしょうか?再生機器の製造・保守サービスの完全終了(2023年3月)により、動作可能な再生機が無くなることに加え、技術者の減少と、テープの経年劣化が重なり、映画やメディアアート、記録映像やインタビュー、ホームムービーなど、磁気テープの貴重な映像や記録が、世界中で再生できなくなる、大量絶滅の危機に瀕しているのです。
そこで、国立美術館のクラウドファンディング第3弾では、この磁気テープの映画・映像遺産の危機を広く皆さんに訴えると同時に、皆さんと協同し、磁気テープの映画遺産を救出するプロジェクトを行いました。
日本映画史上、唯一無二の“映画監督による映画監督のインタビュー映画”シリーズ『わが映画人生』(日本映画監督協会製作)を後世まで確実に伝え鑑賞できるよう救うべく、国立映画アーカイブは初の磁気テープコレクションとして、これを受け入れ、現存するすべてのビデオテープ完成原版のデジタルファイル化の一刻も早い完遂を目指しました。
より多くの方に映画への理解を深めていただけるよう、国立映画アーカイブと京都文化博物館で本作の上映会を行ったほか、『わが映画人生』のDVD3枚セットを制作し、全国の公立図書館等施設196館に寄贈しました。
支援募集期間:2021年12月01日 ~ 2022年03月31日

国立美術館のクラウドファンディング第2弾
国立工芸館 石川移転開館記念事業
12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト!

東京都千代田区の北の丸公園で1977年11月15日から2020年2月28日まで、東京国立近代美術館の分館として近現代の工芸およびデザイン作品を展示紹介していた工芸館は、石川県金沢市に移転し、2020年10月に「国立工芸館」としてオープンしました。
「国立工芸館」移転開館を記念して、国立工芸館と工芸館の来館者、そして工芸ファンの皆さまのために、現役で活躍する工芸・美術作家12名が特別に新作を制作してくださることなりました。
本プロジェクトでのご支援により制作された作品は、国立工芸館の開館記念展でお披露目し、現在も国立工芸館が開催する様々なイベントで利用されています。現役の工芸・美術作家が制作した本物の工芸作品を実際に手に取りお使いいただける貴重な機会を、今後も多くの方に向けて提供してまいります。
本プロジェクトでは、作家が作品を作り上げる現場からのレポートや、制作状況、国立工芸館についての情報など、活動レポートも好評をいただきました。
支援募集期間:2020年04月01日 ~ 2020年08月11日

60年ぶりに発見されたモネの幻の大作がよみがえる!
国立西洋美術館開館60周年記念事業
クロード・モネ 《睡蓮、柳の反映》 デジタル推定復元プロジェクト

クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》は、上半分が失われた痛ましい姿で発見され、「松方コレクション展」での公開に向けて保存修復作業が行われました。この際、国立西洋美術館では、凸版印刷株式会社と共同で、本作の全体像のデジタル推定復元を試みました。本プロジェクトを通してご支援いただいた資金を、このデジタル推定復元画像の制作と公開のための費用の一部に使用させていただきました。
作品本体の修復作業では、失われてしまった部分までは取り戻すことはできませんが、作品の全図が写ったモノクロ写真や、残存部の科学的調査などを頼りに、最先端のデジタル技術やAI技術などを駆使したデジタル復元によって、失われた部分も含めた全体像を現代によみがえらせるべく挑戦をしました。
推定復元したデジタル画像は、修復の終わった作品と共に、「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(2019年6月11日~9月23日)の会場で公開しました。
支援募集期間:2019年03月15日 ~ 2019年06月02日

独立行政法人国立美術館について

独立行政法人国立美術館は、東京国立近代美術館(東京・北の丸公園)、 国立工芸館(石川・金沢)、京都国立近代美術館(京都・岡崎公園)、国立映画アーカイブ(東京・京橋)、国立西洋美術館(東京・上野公園)、国立国際美術館(大阪・中之島)、国立新美術館(東京・六本木)の7つの文化施設と国立アートリサーチセンターを運営しています。日本の芸術文化の創造と発展を使命に、あらゆる人々に開かれた美術館を目指し、文化芸術の多様な価値を活かした社会づくりに向けて、美術振興の中心拠点として様々な事業に取り組んでいます。
独立行政法人 国立美術館 クラウドファンディング